前書き公開[2]アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書

前書き公開[2]アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書
2017-05-26

■ 営業組織を強く変えていく前に、準備すべきこと

デジタル時代における「売れる営業組織の方程式」は、意外にも、ひと中心の、アナログ的なものだった。

その結論を踏まえれば、
マーケティング・オートメーション(MA)は、本社のマーケティング部門主導ではなく、
現場の営業部門主導で導入するほうが、実は、スムーズに結果を創出できるはずである。

「ならば・・・、自分たちのアナログ営業の組織でも、じゅうぶんデジタルの強みを生かせるのではないか」
と、いままで慎重だったMAの導入を、本格的に検討しはじめる読者も多いのではないか?

ただ、その際、忘れてはならない大前提がある。
「売れる組織の方程式」と同時に、「売れる事業の方程式」を考えなければならないということだ。

実は、ハブスポット社が、この方程式によってアクセルを踏み込めたのは、
同社の事業モデルがMAというシステムに乗りやすかったという側面もある。

具体的には、「広告による見込み客の獲得から、面談、そして契約に至るまで」の顧客獲得の道筋が、
直線的かつシンプルに定義できる事業モデルのほうが、この方程式に合わせやすい。
さらに一度、契約を交わしたなら、継続的に売上があがっていく
継続課金(サブスクリプション)モデルがあれば、安定的な経営が実現するので、
成長への理想的な準備が整う。

つまり、百貨店のようにいくつもの商品をもつ事業よりも、
ひとつの主力商品(もしくは商品カテゴリー)をもつ事業の方が適しているのだ。

そこで、もしあなたの会社で、「成長を期待できる、主力商品は何か?」について問われたとき、
明確な答えがすぐに返ってきて、かつ顧客獲得の道筋もわかりやすく把握されているならば、
現時点で、かなり有利な状況だ。
本書を読んだ後から、すぐにアクセルを踏み込みはじめることができるだろう。

しかしながら、一般的な日本企業の営業現場は、もっと複雑で混乱している。
多様化する顧客ニーズに合わせ、種々雑多な商品アイテムで溢れるほどになっていることが多い。

その場合、アクセルを踏み込む前に、商品アイテムを整理・統合して主力商品を見出し、
また継続課金モデルを企画・実行するなど、商品戦略を再構築していかねばならない。

さらには、顧客獲得のあらゆるステージを数値化していくためには、
デジタル広告のほうが、親和性が高いのは当然だ。

すると地域密着型モデルから全国展開型へ、来店型モデルから訪問型モデルへのシフトといった、
事業戦略自体の見直しも、同時に進めていくケースも生じよう。

つまり、本格的にアクセルを踏み込むためには、
採用、研修、評価、報酬という複数の部署が連携する必要があると同時に、
今後の収益の柱となる主力商品の決定や、販売チャネル戦略の見直しなど、
事業トップの判断とコミットメントが要される。

そこで本書ノウハウが爆発的な結果を生み出すのは、
オーナー経営者やベンチャー企業経営者が本腰を入れるとき、
もしくは強力なリーダーシップを発揮しうる事業責任者が、社内に変革チームを創りあげるときとなる。

成長に向けてのアクセルを踏み込みまでには、やることが山積みだが、
1〜2年かけて壁を乗り越えた会社は、顧客開拓が自動的に進むために、一気に市場シェアを獲得できる。

出遅れたライバル会社が差を埋めることは困難だから、
業界地図が変わるほどのインパクトをもたらすだろう。

この挑戦のプロセスでは、
文系社員は、自らの行動を数値で振り返る、理系思考を自然に身につけるようになり、
また理系社員は、人と組織を育てる言葉に敏感な、文系思考を身につけていくことになる。

つまり真に顧客に関心を抱き、社員を育てられる組織への変化を加速させることが、
世界最高峰のエンジニア頭脳が生み出した方程式『アクセル』のもたらす結果なのである。


本書は、すでに多くの営業スタッフを抱える、伝統的な日本の企業にとっても、
また、これから営業チームを創りあげなければならないベンチャー企業にとっても、
デジタル時代の営業の教科書として、長く読み継がれることだろう。

顧客獲得が自動化できるようになったために、
「やるか? vs やらないか?」で、企業の明暗ははっきりと分かれる。
競争は激しく、また時間も限られている。

ぜひ、あなたがリーダーシップをとり、
今この瞬間から、未来に向けてアクセルを踏み込む準備をはじめていただきたい。


最後に、監訳にあたっては、
デジタルマーケティングについてあまり馴染みのない組織においても、スムーズにお読みいただけるよう、
私がアドバイザーボードの一員を務めるリブコンサルティングの協力を得た。
微妙な言葉のニュアンスが、結果に大きく影響するセールストークやコーチング事例が、
そのまま日本で活用できるのは、リブコンサルティングの営業現場でのすぐれた指導の賜物である。

また米国企業を対象とした、本ノウハウを日本企業での実践へのイメージを持ってもらうために、
リブコンサルティング執筆によるコラムも加えたことで、
日本での実践を格段にイメージしやすくなったと思う。

原書は米国では2015年に出版され、すでに2年以上もの月日が経っているが、
デジタルマーケティングと営業の連携が加速する環境が整った今 —— 
日本企業にとって、まさに最適なタイミングで、この翻訳書が刊行になったことを、
監訳者一同、大変嬉しく思っている。

2017年6月
神田昌典


⇒書籍『アクセル デジタル時代の営業 最強の教科書』はこちら